少なくとも、日本で実施される一般的なプロジェクトでは PMBOK や ITSS を元に共通認識を整備するどころか、システムや Webサービスを0から1まで作り上げたことのない担当者が上司から呼ばれて「限られた予算で1年でクライアントのシステムを刷新する必要がある」とか、「社長の思いつきで何も決まっていないけど来期までに新規事業を立ち上げなければならない」と言われ、唐突に発生する大きなミッションと責任を背負わされるケースがかなり多いのです。
こうして始まったプロジェクトを時間と予算のプレッシャーの中で自身のスキルで何とかハンドリングしていかなければならないのが多くのプロジェクトマネージャーが置かれている立場です。
このように、多くのプロジェクトマネージャーが置かれたシチュエーションは過酷なものですが、その中で多くのプロジェクトを潜り抜けてきた第一線のシニアクラスの人達のスキルは非常に属人性の高い(その人でなければできない)ものとなっており、ジュニアクラスのプロジェクトマネージャーの育成はどの企業でも大きな課題になっています。
2014年の IT人材白書によると、「新事業・新サービスを創出する人材」を「確保できている」と回答した企業はわずか 4.4% しかなかったのです。新規事業や DX など、高度なスキルが必要とされる今後、よりニーズと人材供給のギャップは広がっていくでしょう。
プロジェクトマネジメント/プロダクトマネジメントの部分部分のスキルについては世の中に多くの書籍が存在するものの、キャリアを進めていくために登る階段の「最初の段」が欠けているような状態で、社会的なニーズは高いにも関わらず全く足りていない状況であると言えるでしょう。