例えば、建物を建てる場合なら、クライアントにヒアリングしたり立地調査や競合調 査などを行って情報収集し、「どんな建物が必要なのか」、「誰に利用してほしい か」、「どこに建てるか」など、「1. プロジェクトとは」でご説明したプロジェクト の 5W1H に関わるポイントをまずは大まかな要素から決めていくでしょう。
そこから予算やスケジュールなどを見据えてポイントを絞りこみながら検討を進め、 例えば「若者から家族連れ、お年寄りまでが利用できる、地下1階分の駐車場付き地 上13階建ての鉄筋構造のショッピングセンターを建てる」といったところまで要件 を明確にしていきます。日本の場合、建築基準法で決められた耐震構造や耐火構造の 基準を適切にクリアすることも求められるでしょう。
これと同じように、アプリやシステム開発もプロジェクトの 5W1H を決めていく必 要があります。「何となく分かったつもりになっていた」気持ちになってやり過ごし たり、時間が足りないという焦りから検討を中途半端なまま要件定義を終えてしまう と、「郊外のショッピングセンターなのに駐車場が無い」や「内装は細かく決まって いるけど、何階建てなのか決まっていない」や「利用する人数に対して圧倒的にトイ レが足りない」といったグロテスクなショッピングセンターの建築工事が始まってし まいます。
アプリやシステム開発で仕上げの段階になって関係者から不満が上がって「こんなは Äb0ずじゃなかった」となるプロジェクトは多いですが、それはほとんどの場合、要件定 Äb0義が不十分なことが原因なのです。